最近の大型倉庫火災に思う
近年、流通ビジネスの拡大に伴い、倉庫も益々大規模なものになってきており、取り扱う物品も多種多様になってきています。 火災対策についても、このような状況に対応したものでなければなりませんが、現実は現行消防法の枠内で済ませているのが実態です。
こうしたなかで最近、大型倉庫火災が発生し、消火までに長時間費やす結果となりました。
倉庫の安全運用については、米国の規格NFPAには非常に詳細な記述があります。 例えば物品の積み方、通路の確保、物品の仕分け、スプリンクラーの同時作動数と水量、消防隊進入口(firemans access)、行き止まり、などマルチな視点で考えられています。
スプリンクラーは本来、初期消火設備ですが、同時に作動するスプリンクラーヘッドの数が、それほど多くなくても良いように設計されている為、火災発生時にタイミングよく作動し、その時に消火できないと、もうスプリンクラーでは消火できません。 同時に働くスプリンクラーヘッドを、消防法の枠を超えて更に多くし、カバーする範囲を広げると、火災発生時の消火に成功する確率は格段に大きくなるのですが、無論、建設費が高くなるので、そこまで踏み込むオーナーは多くはありません。
消防隊進入口は、二階にも15m間隔で設けるか、或いは耐火壁で守られた非常用階段からもアクセスできるようにすべきです。 また、火災の広がり、煙の拡散など、一度はFDSなどの数値解析ソフトでシミュレーションをしておいたほうがより安全な対策が検討できます。
要は、お金さえかければ、あの様な火災は防げたかもしれないし、短時間で消火出来たはずなんです。
まさに「安全はペイする」です。