プラント防災シミュレーション

弊社はプロセスプラントにおける防消火設備の設計・防災およびリスクアナリシスに特化した会社として発展してきました。
この分野における深い知識と豊富な経験を生かし、火災、爆発、ガス/煙拡散およびそれらの対策のためのプラント防災シミュレーション用の各種ソフトウェアを自社開発し、発災時の影響度評価と警防計画など対策案の検討を行っております。

また、弊社では、米国NISTが開発したFDSおよびCFDソルバーなどを使った、火災・ガスおよび煙拡散の数値シミュレーション業務も承っております。
詳細は数値解析によるシミュレーションをご覧ください。

なお、弊社では自社開発のソフトウェアの販売を行っておらず、お客さまから業務委託をいただいた上での対応とさせていただいております。
お客さまからのご相談内容に基づいて、各種シミュレーションを活用しながら分析を行い、その結果をご報告する形となります。
 

一連の流れに沿った災害シミュレーション

災害シミュレーションを実施する上で注意すべきは、例えば爆発はいきなり突然爆発するのではなく、その前に漏洩があり、ガス拡散があり、場合によっては火災があって、その後BLEVEが発生するなど一連の災害の流れがあるという事です。

弊社では下記例のように漏洩・蒸発などの初期事象から、ガス拡散・火災・爆発までの一連の流れについて一貫した災害シミュレーションを実施し、全体としての影響度評価を行っています。東南海地震などの大規模地震対策の流れの中で、このような一連の災害シナリオに基づく影響度評価は、今後重要になってきます。

災害
シナリオ

球形タンクからの漏洩

原油タンクの全面火災

毒性ガスを含む横型タンクからの漏洩
内容 球形タンクから漏洩・蒸発
(漏洩/蒸発量を計算) 

ガス拡散
(LELの50%範囲の経時変化を図示)
 
着火しフラッシュファイアーが発生
(影響範囲を図示) 

バックファイアーにより
防油堤火災が発生
(輻射熱範囲を図示) 

BLEVEが発生
(圧力波および破片の飛散範囲
を図示) 

ファイアーボールが発生
(輻射熱の影響範囲図示)
原油タンク全面火災
(輻射熱の影響範囲を図示)

消火できずボイルオーバー
が発生

(発生までの時間および残油量を計算) 

ボイルオーバー発生時の輻射熱の影響範囲、及び油の飛散範囲を図示
毒性ガス(液体)を含む
タンクからの漏洩
(漏洩/蒸発量を計算) 

ガス拡散
(ppm/LELの50%/臭気強度の
いずれかで、影響範囲の
経時変化を図示)
サンプル
(PDF)
球形タンクの災害シナリオ 原油タンクの災害シナリオ 毒性ガスタンクの災害シナリオ

 

 

主な自社開発ソフトウェア

主な自社開発ソフトウェアを以下にご紹介します。
一連の災害の流れに沿って分析できる各種ソフトウェアを開発しているため、一貫した災害シミュレーションが実現可能です。

これらのうち、プラント火災における消火活動のシミュレーションに用いる「タンク火災消火シミュレーション」、「輻射熱計算シミュレーション」および「水/泡放射シミュレーション」につきまして、多くのお客さまに身近にシミュレーション結果を体感いただくために、無償ビューワー(FMビューワー)をご用意しています。

FMビューワーの詳細はこちらです。

 

  1. 漏洩・液の広がり・蒸発シミュレーション

    漏洩速度の計算、フラッシュ計算、漏洩した液体が床面を広がっていく速度の計算、および漏洩した液面からの蒸発速度の計算を漏洩後の経過時間に沿って計算するプログラムです。気温、風速、太陽熱の強度、及び防液堤の有無も計算に反映されます。

  2. ガス拡散シミュレーション

    計算モデルは大気拡散評価に実績のあるパフモデルを採用しています。パフの間隔はできる限り密にし、各パフからの濃度を加算して計算精度を上げています。気象条件、排ガス量及び濃度の経時変化にも対応しています。

  3. 爆発シミュレーション(BLEVE・ファイアーボール・VCE)

    石油コンビナートの防災アセスメント指針(以下、コンビ指針)に基づいて、化学プラント等で発生するBLEVE、VCEなどの爆発、およびBLEVEに続いて発生するファイア―ボールの影響範囲を検討する業務を承っております。また、ガス拡散シミュレーションと合わせてフラッシュファイア―の可能性と被害範囲も検討します。

  4. 輻射熱計算シミュレーション(タンク火災・漏洩火災)

    タンク火災、防油堤火災、その他任意の場所で起こる漏油火災(プール火災)が周囲に及ぼす輻射強度マップを作製します。漏油プールはプロセスエリアなど任意の場所に設定することができます。輻射強度は風速、湿度、大気温度、可燃性液体の物性などに基づいて計算され、風上又は風下、任意の高さの水平、垂直、および最大受熱角度のいずれの受熱面での輻射強度も計算できます。受熱面高さを変化させた3D輻射強度マップも作成できます。計算方法は、基本はNFPA記載のMudan(ムダン)の方法によりますが、コンビ指針やNISTで採用されている方法でも計算できます。
    (FMビューワーのダウンロードはこちら。)

  5. ボイルオーバーシミュレーション

    大型原油タンクが火災になった時、最も大きな災害はボイルオーバーである事はよく知られています。弊社はタンクの全面火災に伴う、ホットゾーンの温度と成長速度の計算、更に消火後のタンク内油温変化を計算できるシミュレーションプログラムを開発しました。ボイルオーバーの発生は油の蒸留特性によって左右されますが、原油蒸留カーブをもとにボイルオーバー発生の可能性と時間を予測することが可能になりました。また消火後、タンク内に残留する熱油を冷却するのに要する時間を予測することができます。

  6. 原油蒸発拡散シミュレーショ

    原油が防油堤等に漏洩した場合、軽い留分から蒸発拡散し、ついにはアスファルトなどの蒸発残渣になるまで非常に長期間かかります。弊社は原油の蒸留特性から蒸発速度と蒸発残差の経時変化を計算するプログラムを開発しました。このプログラムは成分組成データが公開されている複数の原油データをもとに、刻々と変化する蒸発ガスの組成を求めることにより、ルシャトリエの法則とガス拡散計算により爆発限界濃度マップを作成する事もできます。

  7. タンク火災消火シミュレーション

    大容量泡放射砲による浮き屋根式タンク全面火災の消火方法をシミュレートするために開発しました。このプログラムは、燃焼液面上の泡橋頭保確立時間及び泡の展開速度計算によって消火時間を求めるだけでなく、有風下における最適な泡放射砲の配置、輻射熱計算による安全な消防活動範囲などをシミュレートする機能を併せ持っています。浮き屋根式タンク火災ばかりではなく、固定式タンク火災の消防車や泡モニターなどによる消火シミュレーションにも適用できます。
    (FMビューワーのダウンロードはこちら。)

  8. 水/泡放射シミュレーション

    水ノズルからの水の放射軌跡を描くプログラムと、泡ノズルからの泡の放射軌跡を描くプログラムがあります。特に水放射の場合は、棒状放水ばかりでなく任意のスプレー角度での放射軌跡もシミュレートできます。これらの水/泡放射シミュレーションソフトを用いることにより、有風下での火災時における化学消防車、はしご車、放水銃、放水砲、泡モニター等の適切な配置を検討できます。
    (FMビューワーのダウンロードはこちら。)

  9. 防消火資機材配置シミュレーション

    消防車や放水砲などの泡/水放射機器の配置は、水/泡放射シミュレーション及び輻射熱計算シミュレーションプログラムを使用して検討できますが、その他に消防ホースの敷設や火災時の消防車などの通行が可能か否かをチェックするために、防消火資機材配置シミュレーションを開発しました。本シミュレーションでは、様々な火災に対応する適切な防消火資機材を配置検討することが可能であり、AutoCAD図面として出力することができます。更に二次元の配置図から3次元の配置図を作成することにより、泡や水放射の障害物の有無も確認できます。


    特許取得済
    発明の名称:燃料タンクの火災・消火状況シミュレーションシステム
    特許番号:第4382698号