タンク火災消火シミュレーション

大容量泡放射砲による浮き屋根式タンク全面火災の消火方法をシミュレートするために開発されたもので、AutoCAD上で走るプログラムです。このプログラムは、燃焼液面上の泡橋頭保確立時間及び泡の展開速度計算によって消火時間を求めるだけでなく、有風下における最適な泡放射砲の配置、輻射熱計算による安全な消防活動範囲などをシミュレートする機能を併せ持っています。浮き屋根式タンク火災ばかりではなく、固定式タンク火災の消防車や泡モニターなどによる消火シミュレーションにも適用できます。商品名:FIRE MARSHALのFRTモジュールとして販売もしております。

このプログラムは下記の計算機能を総合的に組み合わせたものです。特に泡の展開速度や泡の損失に関してはスウェーデンの研究機関で行われたFOAM SPEXSと言う実験報告に基づいております。

  1. 泡放射ノズルからの放出された泡の飛行軌跡計算と飛行中の泡の損失
  2. 消防士や泡放射砲設置のための安全確認のための輻射強度計算
  3. タンク火災液面上に発生する上昇気流速度計算により泡の損失計算
  4. 燃焼液面に達した泡が消えずに最初の橋頭保を確立する時間を推定
  5. 泡の展開による消火時間の計算

 

  泡放射と上昇気流  

泡放射ノズルから放出された泡は風の影響を強く受け、飛行中に飛散するなどしてロスが生じる。一方、タンク火災面では燃焼により激しい上昇気流が発生しており、タンクの縁から中心に向かうほど大きな上昇気流となる。また燃焼面すれすれの高さでは上昇速度は大きくないが、燃焼液面から高くなるほど上昇気流速度が大きくなる。従って泡の効果的投入はタンクの円周に近い縁部か、或いは燃焼液面すれすれの高さという事になる。タンクの円周部に投入する消火方法をスウィートスポット方式、タンク燃焼面すれすれに投入する方法をフットプリント方式と呼んでいる。
弊社はスウィートスポット方式を提唱しているが、フットプリント方式にも対応している。

図1は大容量泡放射砲からスウィートスポットに泡を投入した例です。黒い円筒部分は上昇気流速度の速い範囲を表しています。この部分に放射された泡が接触するとプログラムは不適当と判断します。スウィートスポットに旨く泡が入ると泡放射が黄金色に変わります。

図1;泡放射と上昇気流速度

 

  泡の展開と消火  

スウィートスポットに投入された泡は燃焼液面に到達するが、燃焼液面の温度が高い為、泡が蒸発して消えてしまう。それでも継続して泡を投入し続けるとその部分の液面が冷却されて泡が溜まるようになる。この最初に溜まる泡を泡の橋頭保と呼んでいるが、この橋頭保をベースに以降、泡が燃焼液面場を展開していき、最終的には消火に至る。全消火時間の内、泡の橋頭保を確立する時間が最も長くかかり、泡の展開は泡の投入速度によるが、それに比べると短時間である。

図2は泡の橋頭保を作っている最中の状態です。泡の橋頭保が確立するまでは火災の勢いは変わりません。

図3は泡が燃焼液面上を展開し始めて、部分的に消火している状況です。輻射熱もそれに応じて減少しています。

図2;泡放射と泡の橋頭保確立

 

図3;泡の展開と消火