漏洩・蒸発・拡散

弊社では、化学プラント等における危険物質の漏洩について着目し、その漏洩液体の広がりとガスの蒸発シミュレーションを行うプログラムを開発しました。下図に示す通り、危険物液体が漏洩すると液が床面を広がっていくと同時に蒸発し拡散していきます。ガス量の経時変化を計算し、そのデータを拡散プログラムに渡します。これにより、漏洩が発生してから時間の経過に沿ってガス拡散がどのように進行していくか、経過時間ごとの拡散濃度マップにより確認できます。

 



 

 漏洩・蒸発計算 


 漏洩 

一般に石油化学プラントで取り扱う危険物の漏洩は以下のタイプの何れかに該当します。
弊社のプログラムは何れの漏洩タイプの計算もできます。


 

 

 漏洩液体の広がりと蒸発 

漏洩液体が床面を広がっていく速度の計算及び蒸発速度の計算は下記に示すように様々な方法が提案されているが、弊社のプログラムは何れの方法でも計算できます。液の広がり計算としては、一般的にはUSA-FEMAで採用されている方法を推奨します。蒸発速度の計算はALOHAプログラムでも採用されている、漏洩液体プールを取り巻く全ての熱バランスから計算する方法を推奨します。かなり複雑な計算で、大気安定度、太陽高度を求めるための緯度経度及び日時のデータ、風速などの気象データ、床面の熱伝導度などのデータが必要となります。

 

 漏洩・蒸発の計算例 

球形タンクからブタンが10分間、防液堤の中に漏洩したケース

漏洩中のガスの発生量は、漏洩時即座にフラッシュしたガスと、溜まっている液から蒸発したガスを加算したものですが、漏洩停止後は、10分間で溜まった液の蒸発のみとなり、液が無くなるまで蒸発していくことになります。

 

 

 

 

 

ガス拡散シミュレーション

弊社のガス拡散プログラムは大気拡散評価に実績のあるパフモデルを採用しています。パフの間隔はできる限り密にし、計算精度を上げています。

濃度分布/強度分布は地図上に3Dまたは2Dでグラフィック表示できます。あらかじめ観測点を設定することにより、濃度・強度の時間変化をグラフ表示できます。

原油だけでなく、可燃性ガスの場合はppmの濃度分布に加えて、%LEL(爆発性気体のみ、爆発下限界に対する割合)表示も可能です。

 ガス拡散シミュレーション実施例 

球形タンクからブタンが10分間、防液堤の中に漏洩したケース

上述の漏洩・蒸発のデータをガス拡散シミュレーションプログラムに入力した結果のアウトプットです。

 

下図は濃度分布を2次元表示したものです。
表示する濃度の高さ位置は任意に指定できます。国土地理院発行の地図の上に載せることも可能です

下図のppmでの濃度分布例のように、必要なデータを分かりやすくまとめます。指定濃度は、LELに相当する濃度ppm、安全労働条件、人体に関する危険水準など、様々な基準を元に設定します。

下図は濃度分布を3次元表示したものです。左に表示されている絵は濃度分布を右から見た絵、下に表示されている絵は濃度分布を横から見た絵です。